東海科学機器協会の会報

No.332 2010 秋号

〔会員だより〕秋の夜長にミステリー


板橋理化工業㈱ 笠井裕子


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 子どものころから本を読むのが好きで、お気に入りの本を忘れたころに図書館で借りて何度も読み返すのが楽しみのひとつです。
 ここ数年面白いなと思い読み始めたのは、内田康夫・横山秀夫・東野圭吾・今野敏・雫井脩介・誉田哲也などのミステリー小説です。きっかけは中日新聞で連載されていた『化生の海』(内田康夫の『浅見光彦シリーズ』)でした。それまでほとんどこの分野には興味が無かった私は、新聞のあの一段を毎日毎日少しずつ読むうちすっかりはまってしまいました。新聞連載が最終回を迎える前に、図書館で内田氏の他の作品を次々と読むうち、『名探偵コナン』並みに起こる事件と人間関係の奥深さに夢中になりました。
 ミステリー小説のもう一つの楽しみは映像化です。大抵『本格サスペンスドラマ』と銘打って放送前に宣伝されるので、キャストの発表をできるだけ見ないで「誰が誰を演じるのか?」などを考えたり、友人や家族で話しをするのも面白いです。
 ドラマや映画化にされると、かなり原作とは設定や内容など違ってしまうことがよくありますが、私は『かまわず楽しみたい派』です。「ドラマで組み立てたらこうなんだ、映画で2時間にするならこうまとめるんだ」などと、俳優の演技はもちろん「この脚本家やプロデューサーすごいね」と言いながら楽しんでいます。
 数ある傑作の中で特に好きな物をいくつか・・まずは東野圭吾で、『容疑者Xの献身』です。『探偵ガリレオシリーズ』は、本はもちろんTVドラマも面白くてどちらも好きなのですが、映画化された『容疑者X』の原作は本当に最高でした。本の感動を壊したくなくて映画の方は観るのをためらっていたのですが、こちらも思いきって観てよかったです。演技も演出も素晴らしかったしリアルでした。二人の友情がより深く濃く描かれ、最後の展開もわかっていても入り込めました。
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 東野圭吾でもうひとつ。人気主人公『加賀恭一郎シリーズ』です。ドラマで『新参者』として主人公を阿部寛が演じるとわかった時は衝撃でしたが、ドラマの進行も設定もキャラクターも新しく、中身の濃い見ごたえのある作品で楽しめました。横山秀夫の『臨場』と、今野敏の『班長』はドラマも完全にシリーズ化し、キャストの個性も深みがまして今後も面白くなりそうです。
 最後に、誉田哲也の『ストロベリーナイト』がこの秋ドラマ化されるのでこれも期待しています。刑事役初の竹内結子がどんな姫川玲子を魅せてくれるのか・・今から楽しみにしています。