東海科学機器協会の会報

No.338 2011 冬号

〔会員だより〕 四国の2大麺類(庶民の味)


株式会社島津製作所 八代 智


島津製作所名古屋支店の八代です。香川県高松市にある当社四国支店に勤務していた頃に、麺類好きの私に至福の時を与えてくれた四国2大麺類(私の独断)を紹介します。

一つは香川の讃岐うどん。一つは高知の鍋焼ラーメンです。尚、四国の代表麺として徳島ラーメンを挙げる方も多いことを付記します。  讃岐うどん発祥の地は香川県。瀬戸内地方は、古くから塩田による製塩業が盛んでした。そこから特産品として醤油が生まれ、その醤油と共に発展した食材が讃岐うどんです。  関西の柔らかいうどんと名古屋の味噌煮込みうどんの中間程度に腰がある、食感の良い麺です。一般食堂での販売もありますが、何といっても製麺所に併設された所(多くが庶民風情が漂う食堂です)で出来たてのうどんを食べるのが美味しいです。

店ごとに打ち方や塩加減が違い、また同じ店でも季節によって作り方を変えるそうです。例えば、発汗で塩分が失われやすい夏季は塩加減を少々多くするなど。香川県と徳島県の県境の山間に有名な店があり、何度か訪れましたが、確実に食べるには午前中に行かないと売り切れます。大型観光バスが乗りつけ、土日は長蛇の列が出来ていました。

私は京都出身で、関西のうどんには馴れ親しんでいますが、讃岐うどんがあれば必ずそれを食べるようになりました。讃岐うどん特有の「セルフ方式」、つまり自分で食材を選んで、好みのうどんを作り上げる楽しみ、そして価格が安いことも讃岐うどんを全国的人気麺に押し上げた理由でしょう。四国勤務当時、驚いたことは、高松市での私の日常生活圏内には、うどん店は非常に多くありましたが、そば店は2軒しか探し出せなかったことです。

次は高知の鍋焼ラーメンについて。この麺は、高知県須崎市が発祥の地です。戦後、須崎の路地裏で開業した食堂が初めて作ったとのことです。戦後直後、須崎周辺で安価に入手できる食材を使う庶民の食べ物でした。その食堂の近くに鶏屋があったことから鶏ガラの醤油味が特徴です。また、出前をしても冷めにくいようにホーロー鍋を使いました。その後、土鍋が使われるようになった様です。鍋焼ラーメンを作り出した店主の死去で、一時は鍋焼きラーメンを出す店が無くなりました。しかし、熱狂的なファンや須崎商工会議所が「まちおこし」のテーマにしたことで、徐々に店が増えました。全国のラーメンと差別化するために、鍋焼きラーメンの定義があります。

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①スープは鶏ガラ醤油味、
②麺は細麺ストレートで少し硬め、
③具は鶏肉、ねぎ、生卵、ちくわ等であること、
④器は土鍋、鉄鍋、ホーロー鍋であること、
⑤スープは沸騰した状態で提供されること、
⑥たくわんで酸味が提供されること、
⑦すべてに「おもてなし」の心を込めること、

以上です。

関東、東海、関西、四国で勤務をしましたが、思えば四国に限らず美味しい庶民の味はあちこちにあります。尚、この頃、麺類ではJR名古屋駅プラットフォームの立ち食いきしめんと○○屋の味噌煮込うどんが美味しいと思います。