東海科学機器協会の会報

No.341 2012 夏号

〔サイエンスリレー第7回〕第4の物質状態?プラズマについて

ヤマト科学株式会社 名古屋支店  中川 博一


サイエンスリレー企画掲載にご指名を頂き、誠に有難う御座います。
ヤマト科学と言えばオートスチル(純水製造装置)を思い浮かべる方が多くいらっしゃると思いますが、今回は弊社のロングセラー商品、プラズマリアクターの紹介をさせて頂きます。
理科の授業で『物質の3態』と言う言葉を記憶されている方は多いと思いますが、『物質の4態』と言われると戸惑う方が多いのでは無いでしょうか。
物質の状態は、圧力と温度によって異なります。三態とはもちろん固体、液体、気体を指しています。大気中の水を例にとると、零度C以下では固体であるが、零度Cから100度Cの間では液体の状態で100度Cをこすと水は蒸発して水蒸気、つまり気体になります。
さて、この水蒸気を更に加熱するとどうなるでしょう。水蒸気をどんどん加熱すると、水の分子はばらばらに分れて、水素原子と酸素原子の状態になり、更に1万度C以上になると、原子が壊れて正の電気を持った原子核と負の電気を持った電子とに分かれて、夫々自由に運動するようになります。この現象は電離とよばれ、電離によって生じた荷電粒子を含む気体をプラズマとよびます。プラズマは自然界にも存在しており、極地の空を彩るオーロラ、真夏の積乱雲から走る稲妻等,様々な形のプラズマが存在しています。一方人の手によって生み出されたプラズマは、放電現象として、蛍光灯をはじめとする照明器具や、溶接、エッチング、薄膜形成等の加工技術に広く利用されています。
減圧下で発生するグロー放電プラズマは荷電粒子で最も質量の低い電子のみが動くため、雰囲気温度は周辺温度と同じになります。これに対し大気圧下で発生するアーク放電は溶接等に使われる、非常に高温のプラズマ状態です。ヤマト科学のプラズマ装置は、この低温プラズマとも呼ばれるグロー放電プラズマを利用し、コンタミネーションの除去や高分子材料の表面改質(官能基修飾)を行う装置です。

【応用例】
半導体チップ上パット・バンプの洗浄、電子デバイスリードフレームの洗浄
レンズ用金型DLC保護膜の除去、各種レンズ膜付け前の有機物除去処理、各種フィルム材張り合わせ強度向上処理、コンタクトレンズ(濡れ性の向上=装着時の異物感低減)などなど、薬液を使わないドライ洗浄として環境にもやさしい製品であり、物作りに欠かせない究極の道具として、東海の産業に貢献して行きたいと思います。
生産品の歩留まり向上のため、是非皆様のお客様への提案をお願いいたします。