東海科学機器協会の会報

No.345 2013 春号

会員だより 陸上と海上

日本計量器工業㈱名古屋支店 宇野喜彦

 昨年行った三重県熊野市の大花火大会の体験談をお話ししたいと思います。以前から大会のことは知っていたのですが遠いので行くのは無理だと諦めていました。しかし偶然熊野市出身の人と知り合いになり、一緒に来ないかと誘われたので妻と思いきって出かけることにしました。
 当日は尾鷲まで車で行き、そこから先は通行止めになるので、紀勢本線に乗り換えてリアス式海岸を眺めながら熊野市をめざしました。
 到着して駅前に出ると大変な人混み。おそらく普段は閑散と(失礼)しているのだろうと思われるのですが、この日だけは都会の通勤時のような光景に驚かされました。会場は熊野灘を眺める七里御浜海岸で砂浜にはブルーシートがしかれ、皆その上に座り宴会を開きながら日が暮れるのを待っています。私も腰をおろしてビールを飲みながらふと海を見やると、沖合に豪華客船が3隻停泊しています。何をしているのかと地元の人に尋ねると、あれは船上から花火を見物するためのクルージングだと聞き、我々のブルーシートとはえらい違いだなと思ったのですが、気を取り直して花火が始まるのを待つことにしました。
 7時過ぎに海上の3か所から同時に花火が打ち上げられ始まりました。山がすぐ後ろに迫っているので爆発音が反響して大変な迫力です。熊野の花火大会の醍醐味は海上自爆という上空に打ち上げずに海上でわざと爆発させ花火が目の前まで迫ってくる臨場感を味わうものです。特に船を全速力で走らせながら点火した花火を次々に海に投げ入れ、その爆発に巻き込まれないように進むパフォーマンスは会場が大歓声に包まれます。さすがに熊野水軍発祥の地だけにやることが勇ましい。
 フィナーレは鬼ヶ城大仕掛という、奇岩がそびえる岩場から数百発連続して自爆や打ち上げを繰り返すもので、爆発音が鬼ヶ城の岩肌や洞窟に反響してすさまじい音が熊野灘に響き渡ります。しかしあまりやりすぎたせいか終わった後岩場の上の松林が火事になっていました。花火