東海科学機器協会の会報

No.300 2004 春号

自慢の一品 〈表紙の言葉〉 「帆の無い帆船サーモピレー」

(株)テクノ西村 加地敬治


 今回自慢の一品との課題をいただき、何にしようかと色々と考えましたが、当社社長の勧めもありこの船にいたしました。サーモピレーはカティーサークと共にイギリスの建造船で、紅茶運搬船として速さを競った帆船です。実はこの帆船を作る以前にカティーサークも作成しております。サイズ的にはこの帆船の半分ほどのサイズです。帆船なのに帆が無い、これはこのサーモピレーの流れる船体の形と帆船独特のロープラインの美しさを隠さないために、あえて帆をつけない模型が多いのです。
 作成に1年ほどかかりました、基礎の作成、船体の一枚一枚の板張り、曲げ、マストの削り上げなど、作るための前処理に大変時間がかかりました。それに加えてロープ張りにも大変な時間がかかりました、特にロープ梯子(両面に6面)は大変でした。
 作成途中でやめたくなること数回、何週間も触らなかったこと数回、でも思い出しては少しずつ作成していきました。気を長く持って諦めずのんびりと作れたこと、このことが気分の切り替えにもなり、途中でやめることなく完成できたのではないかと思います。何事においても諦めることなく、多少無理なことでもおじけず挑戦していく姿勢、挑戦しようとする気持。この船を作ったことにより私自身に新たに加わった力として多少でも仕事にも応用できていれば、この船を作成した1年間の時間は無駄にならず、作品とステップアップの両方を入手できることは幸せだと思います。
 もしも時間がございました一度作成してみてください、結構はまりますよ!!

9-111





長さ:1100mm 
高さ:720mm 
巾:360mm