東海科学機器協会の会報

No.325 2009 春号

[ 会員だより ] カメラと写真

日本ハイドロパック㈱ 神谷和孝


 私は趣味で写真を撮っているのですが、最近はデジカメのバカチョンばかり使用しています。小さい頃から機械が好きで、幼稚園の帰りには時計屋さんで遊んでいたり、デパートの食品売り場にあった回転焼きと言う饅頭を自動で作る機械を何時間も見ていたりしていました。中学時代にカメラに興味を持ちそのメカニカルな音が気に入り、中古のペンタックスSVを手に入れました。ちょうどカラーフィルムが一般に普及してきた頃で現像代込みのフィルムを買ったのを覚えています。pentx1
 社会人になり、海外出張でドイツに行った時(ドイツが統合される少し前のころ)カメラ店には中古が豊富にありました。そんな中で私の年齢に近いContaflexⅡを購入したのですが、大変手入れも良くケースの内側には「Dr 何とか」と書かれていて、その瞬間いろんな構図が浮かんで来たことを思い出します。
 何年か前に友人のWEB デザイナーと話す機会が有り、彼と写真の話をしていた時に彼は「写真はフィルムで撮りWEBで必要な物はスキャナーで読み込む」と言っていました。理由を聞いてみますと、デジカメでは余計な物が写ってしまうと言うのです。彼曰く、フィルムは人間の目で見られるものを写すのだが、デジタルの受光素子は人間の見られないものも信号として記録すると言うのです。確かに赤外線も取り込んでしまうので特殊なフィルターが取り付けてあるのは知っていましたが、それ程かなと考えさせられました。だからと言ってフィルムで撮った物が本物と言う訳でも無いし、デジタルは偽物なのかと言えばそうでもない、所詮どちらも見えている物を写した物で撮影した人の(機械の)個性が出ても良いのではないかと私は思うのです。もちろんデジカメ技術の進歩はすばらしく、今ではフィルム以上のきめ細かさで記録でき、より使いやすく優れた機能が搭載され安価になった事は言うまでもありませんが、未だにそれぞれ個性を持っているのも面白い事実です。con_12
 アナログには温かみが有るとよく言われますが何故なんでしょう?私の個人的な解釈では丸み、そしてファジー(あいまい)ではないかと思うのです。フィルムをどんどん拡大していくとぼやけた丸が見えてきます、いわゆる粒子です。デジタルを拡大していくとピクセルという四角形が見えてきます。デジタルを最後に暖かくしているのはプリンターでインクの粒子が丸をもって描き出す事でアナログに近くしてくれているのではないでしょうか。
 私はどちらかと言えば、アナログ人間、ファジーな部分も良い意味で活用し、少しでも周りに丸みを持たせられるようこれからもがんばっていきたいと思っています。