東海科学機器協会の会報

No.331 2010 夏号

〔会員だより〕自炊に取り組んだ一年間


伊勢久㈱ 稲葉直之


11-1

 わたしは丁度、一年ほど前、あるきっかけがあって、料理を始めました。まだ短期間ですから「料理が趣味」とはとても言えませんが、振り返ってみて、がんばって自炊に取り組み試行錯誤したことや思いのほか楽しかったこと、そして若干健康状態が改善されたことについて書きたいと思います。
 きっかけは去年の六月。健康診断で色々な数値がかなり悪くなっていたことに始まります。「食べ物を変える必要がある。それも油を控えた和食中心のメニューに」そう考えた私はまず、料理の本を買い求め、とにかく作ってみて、足りない調味料、調理器具、収納のための道具等々は休日に買い求めるというサイクルを繰り返しました。もちろん、判らないことは料理に詳しい会社の同僚や知り合いに聞いたことは言うまでもありません。そうしているうちに、少しづつ形になってきました。(みりんと酢を入れ間違った等の失敗は数知れずですが割愛します)こうなると物事は、俄然おもしろさが増します。味噌汁のダシをどのようにとればよいのか?米屋さんで精米してくれるが何分づきがベストなのか?一度に材料をまとめ買いするにしてもどのように同じ材料でおかずのバリエーションを増やすか?楽しみは尽きません。あげくのはてにはホームベーカリーを買ってパンも自作しています。また、最近は休日に一週間分の浅漬けを作り置きすることを計画しています。その甲斐もあって、今年の健康診断では劇的に、とはいきませんが悪かった数値の大半に改善の兆候が見られ、お医者様にも「食事の改善にがんばったようだね」と言っていただいたことは本当に嬉しい体験でした。
11-2
 あたりまえのことを長々書きました。しかし、そのあたりまえのことが驚きと喜びの連続だったことも事実です。片栗粉を使って麻婆豆腐のとろみをつけることに成功したら料理をしたことのない男性は驚くこと請け合いです。そのように小さな驚きが重なって私の考え方、感じ方も変った気がします。最後に自炊を始めたばかりの時、ラジオで聴いた歌手の加藤登紀子さんの言葉を振り返ってみれば、なるほど本当だった、という思いをこめて紹介させていただきます。「私は若い人達、それも普段料理をしない若い男性に料理をして欲しい。それはそうすれば、自分が自然の一部だと理解できるから」