東海科学機器協会の会報

No.348 2013 冬号

TKK 創立60周年 記念旅行 報告②

台湾2泊3日の旅

創立60周年記念旅行実行委員長 八神 基

 台風23号の接近が心配でしたが、幸い足取りがスローであったため10月5日朝の出発は定刻通りで旅は始まりました。今回はTKKの理事と会員会社から合計18名の参加でした。60周年記念に相応しい内容とするべく、第12回台北国際科学機器展の参観と、台湾ITビジネス成功の基盤=新竹の科学技術センター地区への訪問をメインに置きました。

〈10月5日・土曜日〉
台湾桃園国際空港到着後ただちに、3日間通しで借り上げたバスで新竹サイエンスパークへ向かいました。
 1時間半弱で到着。土曜日休みで企業見学は叶いません。(元々殆どが見学不可)でしたが、サービスセンター的位置づけである“サイエンスパーク・ライフハブ”へは事前に説明案内を予約しておいたので、案内員から口頭により、この工業開発区の成り立ちから現在までの推移、および現状の規模等々を懇切に説明してくれ、質問にも的確に答えてくれました。その上、日本語のAV画面で、サイエンスパークに属する企業の全体像を示してくれ、深く理解できました。

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 1980年12月スタートでの従業員数は1,200人、今では15万人強と30年で100倍強。昨年度ここからの出荷額=売り上げは、3兆円余り(日本円換算)に上る。

 ここではTSMC=台湾積体電路製造やAUO=友達光電が代表する電子産業の出荷額が8割近く、その他に精密機器メーカーなども若干あります。この後、バスでパーク内を回りましたが、木々に囲まれ、池巡りなど自然環境との調和を計る一方、病院や学校を設置し、また多くのレストランやプール・アスレチックなどレジャーセンターを配して働きやすい環境を整えている。

 行政手続きはワンストップサービスを導入し極めてスムース。さらにパークに隣接して国立清華大学(北京と同じルーツ)や国立交通大学(電気通信大学という意味)・国立工業技術研究院などがあり、産学共同や人材輩出などでタイアップできている。投資優遇政策も継続して行われており、海外からの投資も歓迎の由。もちろん加工輸出区として保税地区の指定を受けている。

 羨ましいほどの優遇政策や秀逸な環境に対し、我々一同いたく感心する反面、わが国電子産業の今の勢いと比べると、些かガッカリもしながら、雨脚が酷くなってきたサイエンスパークを後にし、新竹市内へバスで向かいました。

 東京駅舎に相似しているのも道理な、辰野金吾の弟子が設計した新竹駅舎を車窓より見学。戦前の日本人の気負いと誇りを感じる建物です。この小さな駅前で“台湾独立”の幟旗の林立が!中には日本語の幟旗もある!政治となると燃える台湾人のひとコマを見ました。この日の投宿は新竹国賓大飯店=アンバサダーホテル。夕食もホテル内で、新竹№1の広東料理をいただきました。隣接してデパート新光三越があり、食後に行かれた方も。この晩は早めに就寝。

〈10月6日・日曜日〉
 台北科学機器展の最終日ですから、台風が来ようとも何としても辿り着かないと! 朝方の雨は未ださほど酷くなく、予定通り8時半には出発。10時には展示会場へ。入場後、先ず記念の集合写真をと態勢を整えかけた所へ、先方の理事さん達が待ち構えておられました。とりわけ副理事長格の許さんとは昨年JASISでの交流の折に訪台の約束を交わした再会でした。

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当方・先方とが入り混じり記念撮影し、場所を変え、正式な交流へ。当方より岡野理事長の参観訪問の挨拶に対して、先方からは歓迎と展示会に関しアドバイスを!との言葉をいただきました。

 歓迎昼食会までの間、展示コマをゆっくりジックリと見て回りました。出展会社は約200社、会場の規模は概ね最新科学機器展並みです。展示品は海外からの輸入モノが2/3、台湾産が1/3でしょうか。もちろん日本製品も多く、TKK会員企業の取り扱い商品もあり、熱心に台湾市場の状況など質問されていました。

 集合の12時となり出発。ずぶ濡れを避けようと、日・台で“同舟”しバスで移動、この展示会場に隣接する国立施設内の政府機関レストランで歓迎の昼食会を設けていただきました。6年前、東京科学機器協会が声掛けされ、私も参加した展示会での夕食歓迎会の印象から、今回はお昼だしより簡素な食事を想像していましたが、おアジはさて置き、ゼイタクな食材をふんだんに使った料理を頂戴し(乾杯酒が老酒ではなく、フランスの赤ワインは最大級のおもてなしの証し)、恐縮の極みでした。

 宴席の円卓では、私の隣が台北市儀器商業同業公会の呂理事長でした。科学機器組合の現状などの話に花が咲きました。昨年4月に日本全国の団体として一般社団法人日本科学機器協会を立ち上げた事実を伝えた所、台湾では、8つの地区組合が夫々独立しており、一つの団体へ糾合する機運にはないが、その必要性は感じているとのことでした。また同会の役員会社は20社とのこと。

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 今回も高雄市の同業組合が協賛してはいますが、数少ない組合員での3年毎の展示会開催は、さぞかし大変なお手間でしょうと同情申し上げました。宴たけなわ、あちこちのテーブルから“カンパイ・乾杯”の声が上がり、賑やかさがピークの頃、お開きの時間へ。お互い握手し、手を振りながらの“再見”でした。

 雨脚はいっそう激しくなって、その後の行き先=郊外の九_は危険なので中止、代わりに市内でちょうど3時からの衛兵交代式へ。これも大雨のせいで、入り口アーチ門の下だけで行う、アッサリとした簡易版でした。そこから故宮博物館へ。日曜日、しかも大陸中国の国慶節休暇で中国人が大挙入館し、とても中華悠久の文物史を味わう雰囲気にはなく、駆け足での歯抜け参観で終わりました。
その後、台湾土産店へ。“北投石”の放射線ホルミシス効果を信じた数名の同行者が、大枚をはたいてこのブレスレットを購入。さて効能は、これからのお楽しみ!

 今夜の食事はフカヒレが世界一美味しい専門店へ。
 TKK60周年記念旅行ならではのスペシャルメインディナーとして皆さん大満足。台風の大雨にも負けず今回の旅に参加されたご褒美として、有難く胃袋に収めました。今夜の宿は、昨年オープンしたばかりのザ・オークラ・プレステージ! 予定の士林夜市行きは、雨により中止。希望者はマッサージへ。台湾のマッサージはレベルが高く、多くの日本人が体験します。日本人向けの店へ、女性のお客も多く来ていました。我々は3人部屋でフル1時間半、耳垢掃除や角質削りもオプションで注文。展示会場・故宮博物館とよく歩き、疲れ切った脚がほぐれ、その晩はゆっくりと休むことができました。

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〈10月7日・月曜日〉
もう最終日です。昨日と入れ替えた九_へ。台風は遠のいたとはいえ、思い出したように時おり投げつけて来るような風雨で人出は少なく、ここからの海・山の眺望が楽しめる茶芸館でお茶を戴いたりしながら、ゆったりと観光できました。市内へ戻り、5つ星の晶華ホテル系の飲茶レストランで台湾最後の食事をいただき、途中みやげ物屋へ立ち寄り空港へ。台風の影響からか名古屋便で使う予定の機材の繰り回しがままならず、50分遅れで飛び立ち、9時半過ぎセントレアへ無事着陸しました。

 台風の影響も最小限に抑えることができ、その他トラブルも一切なく記念旅行を催行できました。理事長始めご参加の皆さま、送り出された会員会社の皆さまに感謝申し上げます。皆さま方のご理解とご協力なしでは、この記念旅行の成功は覚束なかったものと存じます。

☆オマケ:
台湾のテレビ局は国民党系と民進党系に分かれる。朝、ホテルの部屋で“民視”チャンネルを見ていたら、日本語でのニュース番組が! 僅か数分間でしたが…。また別のチャンネルではドラマ半澤直樹の放送予告がもう…!
 台湾は世界でたった一つの親日“国”だと、改めて感じ入った旅でした。因みに、台北市儀器商業同業公会の代表の方々も民進党贔屓の由、日・台同志の握手を交わし、次回日本・東京での再会を誓い合いました。

☆参考まで:台湾と日本
人口は1対5 GDPは1対12 国家予算は1対10