東海科学機器協会の会報

No.294 2003 新年号

肥満と飲酒

東海科学機器協会 理事 伊丹惣三(寿工業株式会社)


11-15 明けましておめでとうございます。
 今年も正月休みが長かったので「運動不足のため体重が増えた」という人が多かったのではないでしょうか。ご馳走の食べすぎかもしれません。
 「ビール腹」という言葉から、アルコール類を飲むと太ってしまうという印象があります。確かにアルコールはエチルアルコール1グラムにつき7.1キロカロリーのエネルギーがあります。大酒飲みの人は1日の摂取エネルギーの50パーセント以上をアルコールから摂る場合もあります。 しかし、食事摂取量を減少させ、減少したエネルギー分をアルコールで補充しても、体重低下が起こることが明らかになりました。次に食事のエネルギーを一定に保ち、途中からアルコールを飲ませた実験では、アルコールのエネルギーが加わったのに体重の増加はあまり起こらなかった。これは、アルコールには等量のエネルギーを有する食事に比較して体重を増加させる作用が低いことを示しています。
 「タバコを止めると太る」と言われることがあります。しかし「タバコを止めたから太る」のではなく「タバコを止めたら食欲が増して、間食したり食事の摂取量が増えたから太る」のです。私はタバコを止めて9年経ちましたが、体重は殆ど変化していません。朝、昼は普通に食べて、夜は365日アルコール(ビールや日本酒)を飲みますが食事量は控え目にするように心掛けているからでしょう。
 ところで、ビールの味は泡が決め手だといわれます。ビールの注ぎ方の第一のポイントは、理想的な泡を作ることです。
 まず泡が立つようコップを立てて(傾けては泡が立たない)注ぐことで適度に炭酸ガスを抜くことになります。ビールはもともと炭酸ガスが少し強めに作られており、炭酸が強いと苦味を強く感じてしまいます。少し炭酸ガスを抜いたほうがおいしく飲めます。
 しかし一方で、炭酸ガスが抜けすぎてもおいしくありません。実は泡には注がれたビールの炭酸ガスが抜けることを防ぐ役割もあります。さらに、ビールは直接外気に触れると酸化が進み風味を落としてしまいます。泡は外気に触れさせないためにも重要です。
 ビールをおいしく飲むためには、注いだときにできた泡が消えない間に飲むことです。そして泡が消えたビールには注ぎ足しても泡が立たないので、人に勧めるときには留意したいものです。