東海科学機器協会の会報

No.310 2006 春号

[ 会員だより ] 何よりも「人」を大切に

飯島電子工業(株) 竹内好彦


13_016私はHONDAの車が好きです。何故なら常に新しい事を考え、真っ先に市場にそれを送り込み、挑戦している会社が作った車だからです。挑戦を続けたからこそ、あの高回転まで滑らかに回るエンジンが誕生したのだと思います。
 そのエンジンを皮切りに、今では世界のHONDAと言われるまでになった本田技研工業ですが、私はその理由を「世界一のエンジンを作れる技術」であると思っていました。しかし、最近HONDAの創始者である本田宗一郎氏の本を読む機会があり、そこで私の考えが間違っていた事に気づきました。
 本田宗一郎氏が会社を発展させるために最も大事だと考えたのは技術ではなく「周囲の人が皆偉人である事に我々が気づくこと」でした。つまり、「人の能力をうまく引き出してやる事で、誰でも優秀な人材になる可能性を持っている」と考え、人を育てた事だったのです。
 これを読んだ時、私は勤務先である飯島電子工業もこの考え方を尊重していると感じました。何故なら、私自身がこの考え方によって可能性を引き出してもらえたと思うからです。私は昔から自分の考え・意志がない人間でした。飯島電子工業に入社してからもただ与えられた仕事をこなすだけで、自分で仕事を提案するなどという事はありませんでした。
 こんな人材であれば普通はあきらめられ、教育を打ち切られ他の人材育成に移るところですが、飯島電子工業という会社は私への教育を続けてくれました。なかなか成果が出なくても続けてくれました。その甲斐あって、今では営業マンとして関東エリアを任せてもらえるところまで辿りつく事が出来ました。まだまだスタートラインに立てたばかりで他の人から見ればあたり前なので大きな事は言えませんが、昔の私に比べたら大変な進歩なのです。ですからとても感謝しています。
 飯島電子工業には他にも良い所は沢山ありますが、私はこの「一人一人の力を信じ、それを引きだそうと教育に時間を掛けてくれる所」が最も良い所であり、他社に誇れる部分だと思います。何故なら、そこには「何よりも人を大事にする」という思いがあるからです。
 「何かの縁でせっかく一緒に働く事になったのだから、みんなに楽しくやりがいのある仕事をしてもらい、みんなに幸せな生活を送ってもらいたい」と社長がよく話していた事を思い出していますが、あの言葉の裏には何よりも「人」を大事にしたいという気持ちが込められていたのだと今になって考えています。
 技術ももちろん大切な事。しかし、それ以上にそこで働く「人」が大切であると考えてくれる、そう感じさせてくれるこの会社で、私はこれからも自分を磨き続けます。またそうする事で、飯島電子工業の使命である「お客様の品質管理パートナーである事」と「環境保護」に貢献していきます。