東海科学機器協会の会報

No.315 2007 春号

[ 会員だより ] 世界遺産 張家界武陵源を歩く

三愛科学(株) 村瀬 武夫


中国の世界遺産には大きく区別すると、自然遺産と歴史遺産に分けられる。

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張家界市は湖南省の北西部に位置し、人口の75%は土家族と苗族の人々が生活をしている静かな山岳地帯である。つい先頃までは交通手段が困難な処で訪れる人もまばらであったが、張家界市に空港が開かれ1992年に世界遺産に登録された。近年には世界各国から学術調査や観光に訪れる人々が多くなったが、日本では未だあまり知られてはいない様だ。日本から行くには先ず上海に行き、上海より中国東方航空の小型機に乗り換え張家界空港に到着、飛行機を降りると先ず目に入るのは、延々とつながる山並みの山腹にポッカリと大きな穴が目に入ってくるのが印象的だ、是は天に通じる門に見立てて天門山と呼ばれている。

 武陵源は張家界を中心とする3景観の一つの風景区である。張家界市から車に揺られて30分、入場料売り場に到着。入場ゲートは厳しい制約があり各人指紋を押捺しそれをチップに入れてカードを発行してくれる。自然と動植物の保護、少数民族の保護のための政府の政策と聞く。ただし下山をしてゲートを通過すれば、カードは良い記念品になる。

再び乗り合いバスに乗り奇岩のそそり立つ谷間を走ること 20分、目の前に天にも届かんばかりの岩肌にエレベーターが露出している。200mはあると聞く。それを登りきると更に険しい登山道が続く。しばらく行くと漸く頂上付近にでる。そこには岩山の頂上とはいえ自動車が一台ほど通れる道があり、土家族の人々が篭やら笊に収穫したばかりの見たこともない果物や木の実や野菜を持ち寄って商売をしている。驚いたことには栗を焼いて売っていたが栗の大きさが半端でない。味のほどは決して美味しいとはいえない。

これより天子山コースにはいる。

コースは谷間を眼下に岩肌を縫うように延々と続いており、谷間からは天を貫かんばかりに槍の穂先のような奇峰が幾百と聳え立っている。中でも御筆峰と名付けられた岩峰は絶景である、奇、秀、幽、野、険の揃った天下第一の奇山であり中国山水画のモデルでありましょう。

 この様な山中にも僅かばかりの台地があり少数民族の部落が点在し、村の食堂では本地菜を賞味でき各種の珍しい薬酒が適当に並べられており求めに応じて試飲させてくれる。ただし値段も適当に自分で決めればよい。

よく少数民族と云うとテレビなどで観る色とりどりの衣装を身に着けているように思われますが、日常では私たちとは変わりがありません。街のお土産物売り場では若い人たちが衣装を纏って歌など披露してくれる。

話はまだ続けたいが紙面の関係上、是にて失礼します。皆様ももし機会があれば山岳地帯も如何でしょうか。