東海科学機器協会の会報

No.299 2004 新年号

技術立国・日本

fuji10技術立国・日本
東海科学機器協会 理事 木下 実(合資会社木下理化)


6-114
  中国経済は1991年以降最高で年率14%、最低でも7%を超える高度成長を続けており、昨年もSARSの影響が懸念されたが、8%前後の成長が予測されている。TKK50周年記念事業にて中国の最大の都市である上海を目のあたりにし、その成長を見ることが出来たことは衝撃的であった。
 富と貧の格差はかなりあるように見受けられたが、日本が戦後高度成長を成し遂げたように、中国も日本と同じように大都市から都市へ、またその周辺へと今後発展し貧富の格差が縮まると思われる。日本や他国の技術導入と低コスト力により量産し高度成長を続けていることは周知であるが、今後は量から質へと転換が問われるのではないか。その時が日本にとってより一層驚異になるのでは。しかしながら上海市内の超高層ビル群、リニアモーター、近郊で車窓から見たユニクロの巨大な工場が印象的であった。昨年、情報収集衛星を載せた日本の主力ロケットH2Aを打ち上げたが、失敗した。1000億円が一瞬に宇宙に、いや空に消えた。1000億円は確かに高額ではあるが、それ以上に日本の宇宙航空技術には失望させられた。また経済誌に連載された「ゲノム敗北の教訓」からも、先端機器開発で欧米企業に先行されていることが実例をもって紹介されている。日本政府が技術立国を唱えているにしてはお粗末である。しかしながら国も「先端計測分析技術・機器開発に関する検討会」を儲け、国産化の推進に本格的に乗り出した。単なる欧米製品の国産化ではなく独創性がある製品が開発されることを期待したい。
 TKK会員の皆様にとって2004年申年がよい年でありますことをお祈り申し上げます。