東海科学機器協会の会報

No.311 2006 夏号

[ 会員だより ] 天文楽しませんか

伊勢久(株)木部 信夫


15_017天文学というと、なにやら高尚で小難しイメージがあるのではないでしょうか。たしかに現代宇宙論という話になると物理と数学の世界で、訳の解らないところに行ってしまいますが…。

そんな難しい理論はさて置き、ちょっと夜空を眺めてみませんか。不思議ですよね、あの光が何万光年も遠いところから届いていて、ひょっとするともう存在していないかもしれないわけですし、またこの星空を数千年昔の人々も同じように眺め、星々をつなぎ星座と物語を作り上げたことなど想い眺めると、何気なく見ていた夜空もいつもと違って見えてくるのではないでしょうか。

私が星に興味を持ち始めたのも、小学生の頃父から聞いたそんな話に興味を持ち、近くのプラネタリウムに通い楽しい話を聞くようになり、ドームに映し出される星々を見、星座の話や天体現象をおもしろく、また神秘的な語り口調での解説に、毎回ワクワクしながら聞き入っていたものでした。天文学者になりたい!!が子供の頃の夢だったのですが……。

そんなこともいつしか忘れ、社会人になり夜空を眺めることもほとんどなくなっていたのですが、あるきっかけで数年前より天文のボランティアグループに参加する機会を得、定期的に行う観望会のお手伝いをしながら、再び星を眺めるようになりました。参加された方々に少しでも楽しさを伝えることが出来れば、またその中に大人になったら天文学者になりたいなんて夢を持ってくれる子供たちがいてくれればよいなと思っています。

よく観望者の方から、初めてなのでどんな望遠鏡を買えば良いかとの質問を受けますが、高価なものを購入しても、月と主要の惑星を見て後は押入れなんてことをよく聞きますので、天体以外でも使用できる双眼鏡から始めてはいかがでしょうか。口径が30~50mm程度で、倍率が約7倍前後がお勧めです。倍率が高いと手持ちでブレてしまいますし、視野が暗くなりピントがあわせ辛くなります。
約7倍で月は写真のように見ることが出来ます。木星は主要な衛星が観察でき、時間をおいて見ると位置が移動しているのがわかります。またM42(オリオン大星雲)や散会星団などの明るいメシエ天体も一部見ることが出来る等、結構楽しめます。

最近は初心者向けの、眼視から双眼鏡・小望遠鏡での楽しみ方を解説した本が幾つか出ていますので参考にされるとよいと思います。また各地域の天文台や科学館(プラネタリウム)では定期的に観望会を行っているところが多いので、一度お問い合わせしてみはいかがでしょうか。参加されると新たな発見があるかもしれません。あなたも今年の夏は、天文楽してみませんか!!