東海科学機器協会の会報

No.312 2006 秋号

[ かきゃあ あんたも ] リニア新幹線試乗会に参加しました

名古屋科学機器(株)岡野 忠弘


 名古屋商工会議所の主催で去る9月7日、山梨県のリニア新幹線の試乗をしてきました。中国上海のリニア新幹線(実用化、運用しています)との比較もあり、楽しみにしていました。名古屋から4時間、中央道で大月下車、すぐに「山梨リニア実験線」があります。

リニア新幹線 山梨リニア実験線 概要
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 山梨リニア実験線では、超電導磁気浮上式リニアモーターカーの車両開発はもちろん、複線・力勾配・トンネルなどの条件を備えており、電力供給装置や列車のコントロール装置、完全管理システムなどの開発が、日本特有の起伏の富んだ地形、環境の中で確認される予定です。平成9年から総延長 42.8kmのうち優先的に工事された先行区間18.4kmで走行試験が行われており、平成12年3月に長期耐久性、経済性の一部に引き続き検討する課題があるものの、超高速大量輸送システムとして実用化に向けた技術上のめどが立ったとの評価がなされたところです。さらに、平成12年度から引き続き輸送システムとしての総合的な完成度を高めるための走行試験が先行区間により継続して行われています。

◎験線ルート 全線42.8Km 起点: 東八代郡境川村 終点: 南都留郡秋山村
◎実験を実施している区間(先行区間)18.4Km 起点: 大月市笹子町笹子  終点: 都留市朝日曽雌

リニア新幹線の運用
 リニア中央新幹線は、起点である東京都から、甲府市付近、名古屋市付近、奈良市付近を主な経過地とし、終点である大阪市までを時速500Kmで走行する超電導磁気浮上式リニアモーターカーによって結ぼうとするもので、この計画は、全国新幹線鉄道整備法に基本計画路線として位置付けられています。
この計画が実現すれば、東京~大阪間が 約1時間で結ばれることになります。

超電導ってなに?
10_01 ある種の金属物質を一定温度以下としたとき、電気抵抗がゼロになる現象を超電導現象といいます。超電導状態となった金属物質で作ったコイル(超電導コイル)に一度に電流を流すと、電気抵抗がないため電流はコイルの中を永久に流れ続け、強力な磁界を発生します。リニアモーターカーはこの超電導磁石を搭載し、ガイドウェイに取り付けられた地上コイルとの磁気相互力により、10cmほど浮上して走行します。

どうやって進むの?
10_02 地上の推進コイルに電流を流すことにより磁界(N極、S極)が発生し、車両の超電導磁石との間で、N極とS極の引き合う力と、N極どうし・S極どうしの反発する力により車両が前進します。



なぜ浮くの?
10_03 車両の超電導磁石が高速で通過すると、自動的に地上の浮上・案内コイルに電流が流れ電磁石となり、車両を押し上げる力(反発力)と引き上げる力(吸引力)が発生し、浮上します。



どうして壁にぶつからないの?
10_04 左右の浮上・案内コイルは、電線により結ばれ、車両が中心からどちらか一方にずれると、自動的に車両の遠ざかった側に吸引力、近づいた側に反発力が働き、車両を常に中央に戻します。



 このようにしてリニア新幹線は運行されています。愛知万博での体験をされた方もおありだろうと思います。入場はかなり厳格で、偶然外国人が試乗したいと来られていたが、一切受け付けられなかったようです。試乗する人の名前があらかじめ登録されており、カードになっておりました。無論座席もすべて登録されています。乗車までにいろいろなお話があり、ようやく試乗は14時30分から15時近くまででした。30分の間に時速500Kmの体験が80秒あります。上海では480Kmの体験しましたが、今回はそれを上回ります。座席は2席、2席です。上海は3席2席で少し大きいですね。

 振動、騒音は現行新幹線と同様くらいでしょうか、上海新幹線より数段小さいし、振動も大きくはありません。なお、写真は撮りましたが、なにせ速度がはやく残念ながら写せておりません。速度追従の一眼レフでないとコンパクトカメラではとても無理であります。撮影場所は時速500Kmが展望台でみることができますが、瞬間です。無理でした。なお、展望台の線路を越えたところに見学できる場所があります。そこで撮影すればもっとよかったかもしれません。運転手がおりません、乗務員のみでの運転です。カモノハシのようなデザインは表面に相当傷がついております。締め付けの金属のでっぱりも相当です。時速500Kmは航空機の設計が必要でしょう。700系が新幹線に走っていますが、あれは航空機の胴体と同じ設計です。あのようなデザインが必要になりましょう。肝心の超伝導金属も摂氏-267度から10度高い合金も開発されてきた。それにより総額1000億円安くつくれるモーターの開発も可能です。

 海外へ輸出の話も過去あったが、最近ではその声も小さくなっている。上海リニアも北京オリンピックには北京上海間を走行することになってはいたが、その機運がどうやら小さくなってきた。日本のリニアもまだまだ改良すべき課題もあり、輸出までは程遠い。夏休みには親子で試乗の公募もされています。ぜひそのような機会に試乗されることをお勧めします。
(リニア新幹線URLを参考にしております)

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技術輸出を
まだすべきでない
古典物理から
相対性理論を
現代に生かせたばかりの技術に
リニア新幹線と
シンカンセン
差は
若いJR社員の
自信にあふれた笑顔
時速500Kmを味わう
何に例えようか
少し背を押さえつけられる

この快適さは日本ならこそ

岡野忠弘