東海科学機器協会の会報

No.329 2010 新年号

〔年頭所感2010〕 年頭の願い

東海科学機器協会副理事長
八神 基 株式会社ヤガミ


2-1221

 会員の皆様、あけましておめでとうございます。
今年はトラ年です。虎は千里を往って千里還る、と勢いの盛んなさまを表す動物です。この年始にあたり、一昨年秋から昨年と続いた不況を喰いちぎってくれて好景気をもたらしてくれることを願います。干支の本家、中国では虎は“老虎”ラオフーと言い、頭に“老”を付けます。鼠もラオシューと同じように老が付きます。「時に遇えば鼠も虎となる」から虎とならび“老”の冠を戴いたのでしょうか。わが国ではこの“老”のイメージはマイナス要素が多いように感じます。中華の世界ではプラス面が多く、長じて円熟した・親しみをいだくなどのイメージです。英国でも“It’s old”といえば、古いが善い・信用できるとプラスイメージとなるようです。日本語で「ろうたけた」という古めかしい表現があります。難しい漢字を宛てますが、もともとは“老・長けた”で円熟の意味かと思います。
 さて、一昨年のリーマンショックに端を発した経済不況の下、個人法人とも買い控えが続いています。需給ギャップは引き続き供給力過剰で新規の設備投資や研究開発投資への意欲は冷え込んだままです。そこへ追い討ちを掛けるように民主党政権による予算の“仕分け”就中、科学技術関連予算への締め付けも始まり、我々の業界には厳しい年明けとなりました。科学技術で国を立たせていくしか方途のないわが国です。科学技術の基盤が揺らいでは将来の展望は拓けません。さらにいえば民主党政権が国際公約した地球温暖化ガスの排出大幅削減を実現するためにも新しい環境技術の成功は不可欠です。この面からも科学技術への手厚い予算措置は必要でしょう。むしろ旧来型の政策もこの際大きく“チェンジ”して、科学の視点から看板を書き換え、21世紀の中盤に向け“老長けた”円熟した日本を創っていく「国家百年の計」を明示すべきでしょう。
 “科学”に連なる私達も今こそ大きく声を揚げていく責務を負っていると思います。