東海科学機器協会の会報

No.356 2015 秋号

会員だより 野鳥観察

三弘計測サービス㈱ 沢辺幹和

 休みの日には、趣味の野鳥観察をしています。
私のフィールドは主に名古屋市港区の藤前干潟周辺です。ここは日本で50ヶ所12番目に登録されたラムサール条約登録湿地です。
 ラムサール条約とは、インドのラムサールという都市で最初に開催された、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地の保全を目的とした条約のことです。条約開催地にちなんでラムサール条約と呼ばれています。
 私は、現在、月1回の藤前干潟周辺の定点調査をしています。年間を通じて野鳥の種類、数をカウントして、生息・渡り状況を把握し今後の資料として役立てていきます。
 藤前干潟でも、留鳥、夏鳥、旅鳥、冬鳥とさまざまな野鳥が見られます。
 留鳥:同じ地域で1年中観察される鳥。実際には個体が季節によって入れ替わっていたり、別の場所から移動してきた個体が含まれていたりすることがある。(スズメ、カルガモ、カワウ等)
 夏鳥:春に日本より南の地域から渡ってきて日本で繁殖し、秋には南の地域へ渡って越冬する鳥。(ツバメ、コアジサシ等)
 旅鳥:日本より北で繁殖し日本より南で越冬する鳥。日本には春の北上と秋の南下の際立ち寄る鳥。(シギ、チドリ等)
 冬鳥:秋に日本より北の地域から渡ってきて日本で越冬し、春には北の地域へ帰って繁殖する鳥。(カモメ、カモ等)
 このように四季を通じて種類が入れ替わり、年間100種類以上の野鳥が観察出来ます。
 日頃の忙しさの中で、趣味の一つの野鳥観察
をしていると、数千kmの距離を移動してここ藤前干潟に何も無かったかのように現れ、懸命に生きている鳥たちの姿に感心してしまいます。
 まれにフラッグ付(鳥類標識調査)の野鳥が見られるときがあります。これはシギ、チドリの渡り等、生態を明らかにするのに役立っています。
 最近、カメラが趣味の方が野鳥の写真を撮る機会が多くなり、まれに珍鳥(稀にしか見られない鳥)が現れると、昨今のネット社会での情報を基に遠方より押し寄せ、大砲(レンズ)が並ぶ姿は圧巻です。
 身近な鳥、カラスですが、私も鳥を見るようになる前は、最初は同じカラスしか見えませんでしたが、名古屋市内では2種類生息しています。ご存じの方もいると思いますが、2種類(ハシボソガラス、ハシブトガラス)のカラスの識別の方法は、嘴が細いか、太いか、鳴き声(ガー、カー)、大きさ等です。
 また同じ鳥でも夏羽、冬羽で別の鳥に見えるものもいます。このように観察を通じて色々判ってきました。日本では約550種類の野鳥が観察されています。私は現在300種類を超えたところです。最近では新しい種類を増やすのが大変ですが、これからも地道な野鳥観察を続けていきます。
 ここ藤前干潟には、国のビジターセンターや名古屋市の野鳥観察館があり、野鳥の生態観察が気軽に楽しめますので、機会があれば一度行ってみてはいかがでしょうか。ここで見て感じ、少しでも野鳥に対しての考え方が変われば幸いです。
ありがとうございました。

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