東海科学機器協会の会報

No.368 2018 秋号

かきゃあ あんたも 少林寺拳法

㈱堀場アドバンスドテクノ 益田 拓紀

131 皆さんは「少林寺拳法」をご存知でしょうか。映画「少林サッカー」等で有名な中国武術「少林拳」を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか?「少林寺拳法」とは何なのか?少林拳とどう違うのか?拙い文章ではありますが、この場を借りて大学生時代に部活動で取り組んでいた「少林寺拳法」を紹介させて頂きます。

 少林寺拳法の開祖宗道臣は、戦時中に単身中国に渡り、陸軍の仕事の傍らで様々な中国武術を習得しました。戦後、日本に帰還した宗道臣は、敗戦による混乱で己を見失う若者達を導くべく、自らが学んだ中国武術を基にした新しい武術を教えると共に、自分の人生観や世界観を説きました。これが少林寺拳法の始まりです。つまり、少林拳と違い少林寺拳法は日本で起こった武術なのです。宗道臣は中国・嵩山少林寺(少林拳の中心地)に於いても修行を積んでいる為、少林寺拳法には少林拳のテイストが含まれていますし、少林拳拳法という名前も嵩山少林寺に肖って付けたそうです。ですが、少林寺拳法は少林拳よりも柔術の要素が強いことに加え、武術の体系だけではなく精神修養の要素を内包していることから、全く異なる物と言えるでしょう。

 そんなこんなで、戦後に開創されてからおおよそ60年の歴史を持つ少林寺拳法ですが、私は大学の先輩に勧誘されるという軽い切っ掛けで入門し、大学卒業までの4年間を費やしました。ここからは、私が少林寺拳法部に入部して感じた少林寺拳法の魅力を紹介したいと思います。

 一つ目は、護身術の要素が強いという点です。先程書き記した通り、少林寺拳法は戦後の混乱の最中に生まれた武術です。その為、無法者から自他を守る為のみに拳を振るうという考えの元、まず守り、反撃するという論理に基づく技法体系を構築しています。その為、殆どの技が護身術足り得るのです。しかも、想定する攻撃も目潰しや金的蹴りなど実践的な技が多いです。

 二つ目は、修練を積むことで精神的に鍛えられ、自信がつくところです。少林寺拳法を始めた当初は、武術を学ぶことで精神修養を行うという考えを胡散臭さく感じていたのですが、先述した通り護身術としての要素が大きい技の数々を学ぶことで、何かあった時にも対処出来るという自信がつくのです。また、他の武術、スポーツにも通じるところがありますが、厳しい練習に耐えたという経験も自信に繋がります。

 軽い気持ちで始めた少林寺拳法でしたが、(しんどいこともありましたが)今では貴重な経験が出来たことに感謝しています。私は大学の部活動で少林寺拳法に入門しましたが、全国に一般の道場があり、何歳からでも入門できるようですので、子供がいらっしゃる方は是非チャレンジさせて見てはいかがでしょうか。