東海科学機器協会の会報

No.284 2001 1月号

東海科学機器協会 理事 伊丹惣三(寿工業株式会社)


 おととし、中日ドラゴンズがセ・リーグ優勝したときは、長年の夢がかなったと大いに喜んだものですが、ダイエーホークスに阻まれて日本一になれなかったのはちょっぴり残念でした。それというのも、中日打線がダイエーの工藤選手の巧みな投球にまったく歯が立たず惨敗したからであります。まさに中日にとって工藤選手は大きな壁でありました。 昨シーズンの中日は、リーグ優勝どころか、ジャイアンツに大きく離されて2位に甘んじていまいました。それというのも、工藤選手がFA宣言して高額の契約金でジャイアンツに迎えられ、予想どおりの活躍をして中日をねじ伏せたからであります。金に飽かして工藤選手といった優秀な選手を引っ張ってくれば「優勝して当たり前!」と揶揄してみてもやはり「勝てば官軍」、長嶋監督には「おめでとう!」とお祝い申し上げます。
 今シーズンの中日はどうかな?シーズン前の今は以前ほどの期待はしておりませんが、シーズンが始まりあの高い壁を乗り越えて上位 に居つづければ、また熱く燃えて応援するかも知れません。
 ごく薄い食塩水を電気分解して得られる電解除菌水(フォクラー水)には、多くの次亜塩素酸が含まれていて強い除菌力(細菌を死滅させる力)があります。このフォクラー水で毎日5~10分間アトピー性皮膚炎の肌を洗浄しつづけると、表皮にある黄色ブドウ球菌に対して強い除菌効果があるので、一週間でかゆみが和らぎ、1ヶ月できれいな肌になった事例があります。私の孫もこれで治りました。また水虫で悩んでいた私の足を、このフォクラー水に毎日5~10分間浸漬したところ、1ヶ月で肌がきれいになり、かゆみもまったくなくなりました。これは水虫の原因である白癬菌を除去できたからだと考えられます。 身内で効果を実証できたので、多くの治療例を積み上げるために大々的にモニターを募集しようとして、愛知県薬務課に相談したところ、予想外の答えが返ってきました。「フォクラー水を無料で差し上げるとしても、人体に触れるものである限り、医師がモニタリングするのであればよろしいが、医師免許のない者がやっては薬事法に抵触する」とのことでした。そこで数人の医師に打診しましたが、これを取り上げてもらうのは並大抵のことではないことを思い知り、壁に突き当たりました。
 ならば、フォクラー水を他に活用させる道はないか?ありました。一般的に魚や生野菜の表面 には多くの一般細菌や大腸菌がおり、時には食中毒の原因となるバクテリアがいることがあります。これらの除菌にフォクラー水が有効なことが実証されました。通 常に魚を切り身にして真空パックしたり、生野菜をスーパーなどに出荷する前には、次亜塩素酸ソーダ水で洗浄消毒します。これをフォクラー水で行うわけです。そうすれば、pHが中性なので作業者の手荒れが防げる、除菌効果 が数十倍にもなる、塩素の臭いが残らない、ランニングコストが安い、といった多くの利点があります。このようなことから厚生省が食品の洗浄にこの電解除菌水を使用することを承認いたしました。
 昨年はフォクラー水生成装置が福岡県や愛知県で活躍しはじめました。今年は東京、群馬で採用されるものと期待しています。医療用への道では壁に突き当たりましたが、方向転換して食品用への道を歩みつづけることにしました。