東海科学機器協会の会報

No.334 2011新年号

〔年頭所感2011〕 平成23年の年頭にあたり

東海科学機器協会副理事長
八神 基 株式会社ヤガミ


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 干支は60年で一巡りします“還暦”です。60年前の昭和26年はサンフランシスコ講和条約が締結され日本が被占領国から主権を回復した年でした。隣の朝鮮半島では南北間での激しい戦争が続いていました。今また少しキナ臭くなっています。当時の日本はその補給基地として“朝鮮特需”に沸き、戦略物資が大量に安定的に求められたことから、科学的品質管理手法や工程管理の導入が始まりました。ここで計測機器や試験研究機器などが必要とされ、結果として科学機器業界の戦後の黎明期となりました。しかし、当時の国家予算のうち占領軍に支払う“戦後処理費”(現在の米軍への思いやり予算に相当)が多くを占めていて、まだ戦時経済を引きずった貧しい日本でした。この年、私はまだ幼稚園児でした。
 さて、今年の干支は“辛卯”でウサギが充てられます。ウサギの特徴は“長い耳”と“跳躍力”です。「飛耳長目」と云います、耳を飛ばし目を長くする。でも普通には長くするのは耳で、飛ばすのはガン(眼)、この方が素直に理解できます。遠方のことをよく見聞きできる耳目で物事を鋭敏に観察し、時を掴んでは果敢に踏み切り跳躍する、こんなウサギにあやかって新しい年の始めを迎えましょう。