東海科学機器協会の会報

No.371 2019 秋号

かきゃあ あんたも 「杖」をついて思うこと

オザワ科学株式会社 豊田 義尚

 訳あって、昨年の10月から杖を使って歩いています。車が運転できるようになるまでは、電車やバスなどの公共交通機関を使って出勤していました。そんな公共交通機関内で杖を使っていて思ったことを少々書きたいと思います。
 皆さんも電車などの優先席でお体の不自由な方に席を譲られた経験はあると思いますが、実際に優先席付近でいったいどれくらいの割合で席を譲ってくれると思われますか?
私の経験から言うと約半数の方が席を譲ってくださいます。この、約半数というのが「思ったより少ないなー」とか、逆に「多いねー」とかいろいろ思われるのではないでしょうか。しかし、この半数というのはすべての年齢層の方の半分が譲ってくれるというわけではありません。
 電車やバスにはいろいろな年代の人たちが乗っています。通学で乗っている小学生から大学生、通勤のビジネスパーソンやOLさん、旅行にでも行かれるのか荷物を持った年配の方々など、年齢や目的など様々です。
 事実、先ほどの席を譲っていただける割合は、譲る人の年齢が若くなるほど高くなる傾向にあります。逆を言うと年齢が上がるにつれて、譲っていただける割合は低くなっていきます。以前は、自分自身も満員電車などに杖をついたりして乗ってこられる方を見ると、「何もこんな混んでいる時間の電車に乗らなくてもいいのに」などと思ったりしていました。実際自分がその立場になると、そんな目で見られている気がしますし、中にはあからさまに迷惑そうなそぶりをする人もいます。
 なぜ年齢が上がるほど席を譲らなくなるのか?理由は様々だと思います。自分もそうでしたが「席を譲るのが気恥ずかしい」 「以前譲ったけど断られた」 「自分よりも若い奴が譲ればいい」「自分のほうがつかれていて大変だ」 「気が付かなかった」など考えられる理由をつけて自分で納得してしまっているのではないでしょうか。
 優先席の定義はあいまいで法律的な強制力もありませんが、人の優しさや思いやりで成り立っているものだと思います。皆さんも、もし困っている人がいたときにはぜひ声をかけてみてください。きっと喜ばれると思います。
 最後に、最近「ヘルプマーク」が優先席に追加されています。これは見た目に障碍者と分かりづらいけれど、何らかの助けや配慮が必要な人たちのためにわかりやすくしたマークです。
もしこのマークをカバンなどにつけている人を見かけたら、思いやりの気持ちを思い出していただけたらと思います。