東海科学機器協会の会報

No.373 2020 新年号

TOPICS 技術見学会報告

技術見学会実行副委員長 北川 均

 12月6日に会員企業様から総勢35名のご参加のもと、京都市内にある㈱島津製作所の創業記念資料館、および本社・三条工場を訪問しました。
 創業記念資料館では、大正から昭和にかけて製造されていた汎用X線装置ダイアナ号の実機や、真空を手動で作る排気機など教育用の理化学機器の展示品が多数あり、同社が日本の科学技術の発展に大きく貢献されていたことをあらためて知ることになり、時間を忘れて興味深く見学させて頂きました。国産初のマネキン人形を作ったのも同
社であり、この元になるのは人体解剖模型の製作技術を応用して作られたということを知りました。また蓄電池を日本で初めて開発したのも同社であり、GSバッテリーの名前の由来が、初代、および2代目の島津源蔵様のイニシャルから来ていることを多くの見学者があらためて知ることとなりました。その他ガスクロマトグラフをはじめとする国産初、または世界初という製品が多数あり感銘を受けました。見学だけでなく、視覚や予想に反した現象が体験できるおもしろ実験コーナーも設けられていて、なぜその現象が起きるのかを理解することができ、大人から子供まで楽しめるよう工夫されていました。
 島津製作所の社是である「科学技術で社会に貢献する」を体現できる場所であり、京都の木屋町の料亭街にあって、京都らしさを感じられるLOCATIONで、かつ同社の歴史、日本の科学技術の歴史がびっしり詰まった素晴らしい記念館であると感じました。一般公開もされていますので、皆様もぜひ京都にお越しの際はお立ち寄りされることをお勧めいたします。
 その後は、本社・三条工場に移動しました。環境にも配慮された島津の森という緑のエリアも設けられた東京ドーム5個分の広大な本社工場の中にあるプリント基板工場、サイエンス機器展示エリア、医用関連機器展示エリアの見学をさせていただきました。
 プリント基板工場では、自社製品に組み込むためのプリント基板を内製されており、少量多品種にも対応できるようフレキシブルな生産体制を敷かれていました。部品のマウントから自動はんだ、完成品チェックまでどのように行うのか詳しくご説明いただきました。
 サイエンス機器を展示されているサイエンスプラザでは、同社の分析機器、産業機器が社会でどのように使われているか、役立っている分野がどこかを実機見学を交えながら紹介いただきました。食の安全を守るための残留農薬検査機器や、病気の早期発見、医薬品の開発に役立つ機器など「見えない物を見る」「測れない物を測る」ことで、各産
業を支えているということが良くわかりました。
 医用関連機器を展示されているメディカルセンターにおいては、最新の医用画像診断装置と病院での臨床アプリケーションの紹介を中心にご説明いただきました。移動式のX線撮影装置も回診用途で普及しているということも知り、同社の医療分野における貢献度の大きさを知りました。
 今回、本見学会に多大なるご尽力をいただいた島津製作所の関係者の皆様には本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。
 また来年も魅力のある技術見学会をTKKとして企画したいと思いますので皆様のご参加をお待ちしております。