東海科学機器協会の会報

No.316 2007 夏号

[ サイエンスコーナー ] 温度計

(株)佐藤計量器製作所
市川 太朗


温度計を最初に作ったといわれているのはガリレオ・ガリレイです。ガリレオ・ガリレイは、ガラス球とガラス管を使って温度を測る装置を作りました。ガラスを使っているため温度変化を肉眼で確かめることができましたが、この装置は気圧の影響を受けるため短時間の間の温度変化しか見ることができないものでした。ガリレオの友人で医師のサグレドはガリレオのつくった装置を改良し、ガラス管を水平にした中に液(私は何が入っていたかはわかりませんが……)を入れました。これを用いて友人の医学者サントリオは患者の体温を測定したといわれています。

1720年、ファーレンハイトは水銀温度計を発明しました。水銀はアルコールや水とは違って、ガラス管の壁をぬらさず、付着することがないため、同じ熱さの時にはいつも同じ目盛りを指します。そして、氷の融解点32度、水の沸騰点212度としました。この目盛りは、現在でもアメリカ、カナダなどで使われている『°F』という単位です。

 時を同じくして、スウェーデンの天文・物理学者セルシウスは、気圧計の目盛りが一定の時、水の沸騰する温度がつねに一定であることに気づき、一気圧のときの水の沸騰点と、氷の融解点との間を100等分した目盛りを作りました。この目盛りは、現在、日本など多くの国々で使われている『℃』という単位です。

 その後、熱伝対、測温抵抗体、圧力式温度計、サーミスター、放射温度計、バイメタル温度計他、いろいろな温度計が開発されました。一般家庭から、研究、生産、衛生管理、その他いろいろな用途で使用されています。

温度計は、熱い・冷たいということを、他の誰かに正しく伝えたいという要求から発明されたものではないかと思います。今後も新たな温度計が発明されると思います。将来を期待したいと思います。

最後になりますが、身近な水の融点と沸点間を100等分して温度の単位『℃』を発明したセルシウスには使いやすい単位を発明してもらい感謝しています。他の身近な単位もまたしかりですが、学生時代の単位は……。

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