東海科学機器協会の会報

No.316 2007 夏号

[ 会員だより ] 私の毎朝の楽しみ

(株)サンプラテック
川崎 拓也


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私は小学生の頃金魚が好きで、お祭りの夜店ですくっては持って帰っていました。飼い始めの頃は人影が見えるだけで隠れてしまうのですが毎日餌を与え、汚れた水槽の掃除をしてやるといつしか私の姿が見えただけで水面に顔を出し、餌をねだる愛くるしい姿にいつも魅了されていました。

しかし、私が中学生、高校生になるにつれて部活動や勉強、遊びにと忙しくなりなかなか世話をできず、中学二年の時に最後まで生き残った金魚が病気で亡くなって以降、全く飼うことはありませんでした。

それから15年の日が過ぎました。近所で行われていた盆踊りで金魚すくいの夜店を見つけた私は懐かしさもあり挑戦してみることにしました。結果、小さい小さい金魚を3匹持って帰ることになりました。夜店の金魚は一般的に生命力が弱くなっているのですぐに死んでしまうことが多く、この金魚も長くは生きることはないだろうと水槽を買うわけでもなくバケツに泳がせていました。元気がなく、動きも鈍く、毎朝仕事前に様子を見て餌を与えながら心配していました。加えて、私の姿を見ればバケツの底に逃げ、魚体を硬くしじっとして動かず私が去るのを待っているのです。

そういった日々が二、三週間続いていましたが、ある朝私が餌を与えようとベランダにでた瞬間、「待ってました!」と言わんばかりに水面で口をパクパクさせ尾ビレを命いっぱいに振る金魚の姿を目にしました。まさに昔私が魅了されたあの愛くるしい姿を見せてくれたのです。

その日から再び私の金魚生活は始まりました。小さい頃大きな睡蓮鉢に水草を浮かべ悠々自適に泳ぐ金魚の姿に憧れを抱いていた私は、大人になった今その願望を叶えることにしました。まずは鉢を探す為にホームセンターから骨董品店まで足を運び、最終的にはネットオークションで睡蓮蜂を購入しました。江戸時代??の街並みが描かれた、いかにもというような鉢です。その他にもいくつかこだわりがあり、エアーポンプではなくできるだけ自然の姿で飼いたいという思いがあり、水草を多く入れ酸素不足を解消することにしました。また、水のにごりが少しでも遅くなるようにと備長炭の破片を底面に敷き詰め、気持ち程度の効果を感じ、鉢の側面につくコケに対しては、コケを食べて掃除してくれるという石巻貝を買い同居させています。この石巻貝は非常に興味深く、一度ひっくりかえってしまうと自分自身の力では起き上がることができず、最後には息絶えてしまうという少し変わった貝なのです。何度かその現場を目撃し救出してあげました。餌に至っては金魚の餌にしてはかなりの高額なものを買って与える始末です。こんな超過保護な飼育環境の中で育つ金魚はすくすくと大きくなり、出目金二匹を仲間に加え今日も元気に金魚達は毎朝私に愛くるしい姿を見せてくれています。

最近では、横腹が異常なまでに膨れ上がって少しメタボリック気味ではありますが……。