東海科学機器協会の会報

No.316 2007 夏号

[ 会員だより ] 一筋のラインに魅せられて

(株)サンメック
楠 明人


08_014ここ数年、冬の間の毎週末はスノーボードをやりにスキー場に通っている。

初めてスノーボードをやりに志賀高原に行くことになった時には、こんなにのめり込むとは思ってもいなかった。というのも僕はスキーをするつもりだったが他のメンバーはボードをするというので仕方なくボードに合わせただけだったからだ。それがやってみると面白い。それまで負のイメージしかなかったスノーボードの印象は、ターンが出来そうな兆しが現れると楽しいに変わりつつあった。今から5年前のことである。

スノーボードの魅力ってなんだろう?求めるものは人それぞれだ。レジャーとして大人数でわいわい騒ぎながら滑るのも楽しい。スポーツとしてスピードを求め自分の狙ったラインをトレースするのもまた楽しい。それに非日常的な白銀の世界で大自然を感じるのも魅力のひとつだ。ボードを始めた年は、ただターンが出来るだけで楽しかった。2年目はスピードに惹かれ、3年目は滑りをコントロールすることに魅力を感じた。

滑り方の一つにカービングターンというテクニックがある。英語で「carve」彫刻するという意味だ。ボードのエッジに乗り込むこの滑り方は、文字通り彫刻刀で彫ったような一本のラインを雪面に刻む。カービングはスピード、遠心力を体全体で強く感じそれがとても気持ちいい。自分が狙ったラインにこの一筋の軌跡を残せると何ともいえない爽快な気分を味わえる。一度味わうと病み付きになってしまう。先シーズン、今シーズンとこのカービングの虜になってしまった。このカービングターンもスノーボードの魅力のひとつである。

毎週ゲレンデに通っていると決していい天気ばかりではない。前も見えないほどの猛吹雪や濃霧、時にはマイナス20℃近く冷え込むこともある。道中も大変だ。片道4時間近く走りゲレンデに近くなると圧雪路、凍結路が行く手を阻む。運転が好きな僕でも疲れ切ってしまうこともある。しかしゲレンデをボードで滑り出すと、そんな大変な思いもアッという間に吹き飛んでしまうほどの魅力がスノーボードにはある。まだまだトライしてみたいテクニックが山ほどある。カービングターンももっともっと洗練したい。

春になった今、もう次の冬が待ち遠しい。当分スノーボードから離れられそうにない。

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