東海科学機器協会の会報

No.313 2006 冬号

[ 会員だより ] 障害犬

壽化工機(株) 佐野 教信


16_019 我が家には15歳になるクロという名の、下半身不随のシベリアンハスキー(オス)がいます。交通事故で脊椎を断裂し動物病院で手術を受けたもののリハビリの甲斐なく下半身不随になってしまったのです。8年前の10月、確か火曜日でした、仕事から帰るといつものようにクロがいない。聞いてみると半田の病院に入院していると言う。道端で倒れているのを近所の人が見つけてくれて、たまたまその人がレントゲン設備のある動物病院を知っていたので紹介をしてもらったらしい。
 病院へ行ってレントゲン写真を見せてもらうと、背骨が断裂しているのが明らかで、医者が言うには�「この状態では介護が大変で安楽死が普通です。どうしますか?一応背中を開いて見ますがだめならそのまま閉じます�。�」 決心がつかなかったものの、このままでは飼うことが出来ないので、背骨だけはつなぐようにとお願いした。
 次の日、いろいろ神経系の検査をしていると医者が、�「ああ、肛門反応が残っていますね�」と言いました。このことは排便がたれ流しにならないということです。この一言で安楽死をやめることにしました。手術は金曜日に行われ、翌土曜日には退院です。動物は翌日退院でも大丈夫なのです。背中には長さ 30cmの、毛が剃られた手術痕がありました。
 退院時に介護の仕方をいろいろ教わりました。カテーテルでの尿の採り方、大便のとりかた。尿は1日1回、大便は朝夕2回です。
 リハビリは家族の協力なしでは出来ないと言われたので、退院後、床ずれ防止マット(ヒト用)、遠赤外線ランプ、伊吹山のもぐさセットを購入しました。もぐさを背骨にそって両側にすえ、これに遠赤外線ランプをあてるのですがまるでカチカチ山でした。2ヶ月続けましたが回復はかなわず、リハビリを諦めました。  
 なんとか散歩だけはさせたいと思い、折りたたみ式のベビー-カーを購入し、一旦ばらして犬用に組み立ててみたりしたのですがどうもうまく出来ません。いろいろ思案している時に、八王子に専門の会社があることを知り早速注文しました。
 一週間くらいたって車椅子が送られてきました。 胴の長さ、高さをあわせクロを歩かせて見ました。�「さあ、どうだ、あるけるか!�」 家族が注目の中意気揚揚と歩きだしました。
 これ以来ずっと散歩は車椅子、家の中では前足だけでのずり歩き生活です。最近はかなり足が弱っていますがまだまだ散歩することが出来ます。