東海科学機器協会の会報

No.313 2006 冬号

[ 会員だより ] 「ライブスチーム」という趣味

オザワ科学(株)四日市営業所 山本 眞一郎


11_032ライブスチーム? 生きた蒸気?聞きなれない言葉ですが、ミニSLのことです。実物の1/8~1/12の大きさの模型蒸気機関車を、本物と同様に石炭を燃やし蒸気を作り、その力で走ります。この模型蒸気機関車の趣味を、ライブスチームと呼びます。
 私がライブスチームを始めたのは、14年前。鉄道雑誌の中の製造メーカーの広告に興味を惹きつけられ、メーカーに見学に行くやら、同好のクラブの運転会に行って話を聞くやら、蒸気機関車の写真集、メカニズム、発達の歴史に関する書籍を買いあさり、読みあさり、思案の挙句に、その二ヵ月後には組み立てキットの購入を決意しました。以来さらに深みにはまり、6年前には二台目の汽車を購入してしまいました。
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 この趣味の楽しみには、汽車を組み立てる楽しみ(超マニアは、工作機械を揃え部品から自作し、三年がかりで完成させる)と、汽車を運転する楽しみがあります。組み立てる楽しみは費用の面からも何度も体感することは無理ですが、運転のほうは、奈良県法隆寺近くのレイアウト(常設の専用線路が引いてあるジオラマのような走行コース)に毎月一度同好のクラブ員が、自慢の汽車を持ち込んで集まり、運転や談笑したりして一日を過ごすのは至福の時間です。
11_019 年に一度、頼まれて、地域のイベントにレールを仮設し(一周50~80m)、小さい子供たちを乗せて汽笛を鳴らしながら汽車を走らせることがあり、これも楽しみの一つです。レールの仮設、撤去、資材の運搬に相当の体力が必要で56歳にはつらいところもあるのですが、汽車に乗っているときの子供たちの笑顔が疲れを癒してくれます。
 数年前、新潟地震、インドネシア地震復興募金を目的としたあるバザーにボランティアとして参加、バザー会場で汽車を走らせ、その乗車運賃を募金しました。ボランティア活動を初めて経験したのですが、それに携われること、社会の役に立っていることの嬉しさ、心の充実感のようなものを、少々体感できて、幸せ気分でした。
 元来凝り性で、ひとつのことにのめり込むタイプですが、趣味を通じて知り合った人たちとの交流、人の和、人のつながりを大切にして、これからの人生を楽しみたいと思っています。