東海科学機器協会の会報

No.309 2006 新年号

[ かきゃ~あんたも ] フランスの聖地を巡る旅

kakyah26フランスの聖地を巡る旅
愛知電子工業(株) 松本 悦夫


16_015 昨年の10月中旬、ある研究会のメンバー10数名とフランスの聖地を巡るツアーに行ってまいりました。当初の企画はインド北西部パキスタンとの国境に近いカシミール地方に、スーフィ教(イスラム教の流れ)のセッションを見学、体験しに行くことになっていましたが、カシミール地方でテロが発生したため外務省の渡航自粛勧告により行けなくなってしまいました。しかし同行のメンバーの先生より、既に休診の案内を出してしまったから何とか旅行を実施して欲しいとの要望もあり、急遽フランスに行くことになりました。
 まずパリ経由でプロブァンス地方のモンペリエまで飛行機で飛び、ローヌ川に沿ったゴッホの名画「はね橋」や「夜のカフェテリア」で知られたアルルの街並みを散策してから、地中海の小さな漁村サントマリードラメールに入りました。この村は聖母マリアの姉達が侍女のサラと共にエルサレムを追放されて漂着して住み着いたと言われる伝説の地で、ジ 
プシーの聖地でもあるそうです。南仏でありながらスペインに近いせいなのか、料理もブイヤベースではなくパエリアがメインのとてもスペイン的な雰囲気の村でした。
 翌日は行程に余裕ができたとのことで、予定になかった世界遺産の中世の城郭都市カルカソンヌのお城を見学することが出来ました。お城の窓からカルカソンヌの街並みを眺望していると中世にタイムスリップしたような感覚になってしまうくらい、史跡が大切に保存されていました。その夜はしっとりとしてお洒落な山あいの街、サルラートのホテルでフランスの田舎料理を美味しくいただきました。
 翌朝はサルラートの朝市を車窓から見ながら渓谷の断崖の村、ロカマドールに向かいました。深い霧の中に浮かぶ黄葉に彩られたロカマドールの眺望は、とても言葉で表すことの出来ないほどの素晴らしさでした。黒マリアの聖地ロカマドールは中世がそのまま残った村です。フランスからスペインの聖地「サンチャゴ、デコンポステーラ」への巡礼コース上に位置し、キリスト教の重要な巡礼聖地として繁栄したそうです。ロカマドールは皆様も機会がありましたら、行かれる事をお薦めいたします。
 その日はフランスで最も美しいと言われている山深い辺境の村コンクと、5~16世紀の街並みが心を落ち着かせてサンシルラポピーの初秋の景色を満喫し、夜は13世紀に運河を利用した交易で栄えた街カオールで、特産の赤ワインをマロニエの樹の下でいただきました。
 翌日は今回のツアーの主なる目的である、ピレネー山脈の麓の街ルルドに向かいました。
1858年ピレネーの麓の寒村ルルドで、少女ベルナデッタが聖母マリアに告げられた地面を掘ったところ泉が湧き出し、その水を飲んだ人の病気が次々と癒されるという奇跡が起こりました。現在では毎年600万人以上の人達が訪れるカソリック最大の聖地です。 毎晩9時から行われるローソクミサに私達も2日間参加させていただきましたが、参拝する人の数の多さにも驚きましたが、ミサの時に広場が今まで体験したことのない神秘的なエネルギーに満ち溢れてくるのには、正直言葉を失いました。
 日本にも聖地、聖水は沢山ありますが、ルルドは私の予想を遥かに超える聖地でした。 なぜか今回訪ねたフランスの聖地は、母マリア及び聖女伝説に関連する所ばかりであったことがとても印象的でした。近年医療の進歩は目覚しいものがありますが、反面有効な治療法が確立されていない疾病もまだ数多い現状を見るにつけ、病気そのものの捕らえ方を考え直させられた旅行でもありました。