東海科学機器協会の会報

No.309 2006 新年号

平成18年の年頭にあたって

東海科学機器協会副理事長 八神 基 (株式会社ヤガミ)


02_018あけましておめでとうございます。
今年の干支は丙戌(ひのえいぬ・へいじゅつ)です。擬されている動物は犬。
“ドッグイヤー”という言葉が喧伝され始めたのは4・5年前からでしたか。
人間の寿命に比べ犬はその7分の1、すなわち7倍の速さで一生を全うする事実から、商品のライフサイクルが従前の7倍の速さで進行する時代状況などを指して使われています。商品のライフサイクルが7倍早くなれば開発のスピードも7倍に引き上げないと、手遅れとなってしまい、モタモタしていてはライバル達に置いてきぼりを食い、取り残されてしまう仕儀となる。ここに“スピード経営”が求められる背景があります。
“ドッグイヤー”=7倍の速度、しかし犬の生態を観察すると、さほど生き急いでいる風には見えない。犬にも色々ある。一番よく目にするのは家庭で飼われている“番犬”とか“愛玩犬”。 悦び勇んで身を捩ったり飛び跳ねは時折するが、大半はボンヤリと過ごしている。“スローライフ”を愉しんでいる風情。
次いで目にするのは盲導犬など人の介助ができる犬です。これは悠揚迫らぬ、風雅すら感じさせる態度から見て、7倍のスピードで焦って生きているとはとても思えない。02_023
あとは狩猟犬、映像でしか見る機会はないが猟以外の行動ではセカセカしてはいないのではないでしょうか。
昔、ボクサー犬を飼っているお宅を訪ねたことがある。犬が居るとは知らず、狭い玄関へ一歩踏み入れるなり、褐色の犬が私の身長近くまで立ち上がって咆哮しつつ迫ってきた。これにはビックリした。まさに7倍のパワーを感じました。
「犬も歩けば棒に当る」、ましてや人は歩けば必ず棒(ラッキーチャンス)に当るはずです。
嗅覚を研ぎ澄ませて“お金の匂いのする所”を探り当ててビジネスチャンスをモノにし、視覚を高めて“お金の落ちている所”を見付け出して新しいビジネスフィールドを切り拓いていかないと“明日”は呼び込めません。  
今年はひとつ“犬”に倣って、自分の目・耳・鼻を鋭く利かせるべく、近頃とみに衰えがちな感性を幾分なりとも高めて参りたいと念じています。

02_032