東海科学機器協会の会報

No.289 2002 新年号

肥満と水

東海科学機器協会 理事 伊丹惣三(壽工業株式会社)


 明けましておめでとうございます。
 今年は正月休みが長かったので「運動不足のため体重が増えた」という人が多かったのではないでしょうか。ご馳走の食べ過ぎかも知れません。
 太った人が「食べるのを制限しているのだが、ちっとも痩せない。水を飲んでも太ってしまう」とおっしゃる事があります。しかし、水を飲んだだけで太る、ということは絶対にあり得ません。太るのは、食べ過ぎて体に脂肪がつくからであります。
 水道水には体を太らせる成分はありません。水の中には何種類かのミネラルが含まれています。例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩素イオン、炭酸イオンなどなどです。しかし、飲料水に適したミネラルの総量は、水1リットルあたり50mgから300mgとされています。成人は1日に平均2.5リットルの水を飲むといわれていますから、1日に飲み水から摂取されるミネラルの総量は100mgからせいぜい 700mgとなります。しかも、これらのカロリーはゼロであります。
 人は寝ていても、呼吸したり心臓が活動するので、エネルギーが消費されます。これらはすべて食物から得られます。消費されるカロリーよりも多いカロリーを摂取すれば、その分が脂肪となって太りますし、消費されるカロリーよりも少なく摂取すれば、体内の脂肪からカロリーが補給されるので痩せてきます。したがって、痩せもせず太りもしないためには、朝昼は十分食べても、夕食は腹八分目がよろしいかと思います。二次会の後のラーメンやうどんは止めたほうがよろしいのではないでしょうか。
 ところで、ミネラルウォーター、清涼飲料水、スポーツドリンクについて触れておきたいと思います。ミネラルウォーターは、水道水を浄水器に通して塩素臭を除去したものとほぼ似た水質のものと考えられます。また、清涼飲料水やスポーツドリンクは激しい運動の後のエネルギー補給には適当ですが、習慣的に飲むことは避けたほうがよろしいでしょう。糖分が多く、カロリーが意外に高いからです。

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