東海科学機器協会の会報

No.289 2002 新年号

「駑馬(どば)も千里」といいますが

東海科学機器協会 副理事長 八神 基(株式会社ヤガミ)


 あけましておめでとうございます。
 昨年は千年紀(ミレニアム)と21世紀が同時に幕を開け、新しい期待をもって年始を迎えましたが、イチロー選手の活躍と野依教授のノーベル賞(共に愛知県の人)を除くと暗いニュースが多かった一年でした。
 今年は西暦2002年、平成十四年壬午(みずのえうま)年です。
 皆さんはこの正月、神社への初詣でにお出掛けになりましたか。新しい年を迎え、元旦のできれば早朝、神社への参詣は気が改まるものです。
今年の新春の私の戯(ざれ)句です。
「初東風(はつごち)に神馬(しんめ)の耳のみくじ揺れ」
 「馬耳東風」を知るや知らずや、青銅の馬の耳に願いを込めて結(ゆわ)え付けられた初みくじが揺れているよ。
 さて、今年の十干十二支でいう動物は午=馬となります。昨年からの狂牛病騒ぎで、牛も頭を低くしているので「牛」の文字から頭を隠すと「午」となる。すなわちウマ。
 馬を使った言葉を今風に挙げてみましょう。
当て馬・・・・・・
ヘボな営業マンが一時糠(ぬか)喜びして引っ掛る。
じゃじゃ馬・・・・・・
この種が急増し目立たなくなった。
尻 馬・・・・・・
手抜きしてラクするが、いづれ落馬する。
馬 脚・・・・・・
ウマいことやったと思っても必ずバレる。
タレ込み横行。
馬 券・・・・・・
夢はレースまで、すぐ紙クズ、環境への負荷多大。
馬耳東風・・・・・・
上司の下手な説教話への対処法、我慢2~3分?
馬 食・・・・・・ストレス解消の一策か。
馬 力・・・・・・
馬どころか人力すら無い手合いが増えた。
馬 齢・・・・・・
馬の年齢のことと思っていた人が重ねてきたもの。
野次馬・・・・・・ホレ!お前のことじゃ。
馬子にも衣装・・・・・・
まぶしいブランド、まずしいブレイン(頭脳)。
痩せ馬の道急ぎ・・・・・・
急ぐどころか、道草を喰って進まぬ手合い急増中。
馬の耳に念仏・・・・・・
社長の話も、とは言わないが。
人間万事塞翁が馬・・・・・・
他人の不幸は我が喜び、場面暗転、明日は我が身だ。
他にも
「馬に乗っても口車に乗るな」
「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」
「馬に馬鹿なく人に馬鹿あり」
などがある。
 もう一例、「馬を相(そう)するに輿((よ)を以てし、士を相するに居(きょ)を以てす」(馬のよしあしを見るには車を引かせれば分かる。人物を見分けるには家に居る時、何をしているかで分かる。) これはいささかギクッとする警句です。
 「駑馬(どば)も千里」という。
 昨年名を揚げたイチロー選手、野依教授、いずれも努力の人です。駑馬は鈍重な馬だが、努力すれば千里を駆ける天馬にもなり得る。我々鈍才も流す汗の量でカバーして今年のウマ年を千里の彼方をめざし駆けて行きましょう。