東海科学機器協会の会報

No.319 2008 新年号

[ 会員だより ] フィニッシャー

セントラル科学(株)名古屋支店
阿部 将人


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フルマラソンの完走者の事をフィニッシャーと言うらしい。
今から約3年前の沖縄での取引先との飲み会、「那覇マラソンを走らないと沖縄担当とは言えないサー」それも夜中?早朝!?しっかりアルコールも入り勢いがついてきた頃に、一緒に飲んでいた島人が言い出した。

「郷に入りては郷に従え」と言う言葉を思い出したかどうかは定かでないが、真の沖縄担当になる為に「ヨッシャー走りましょう!」と言うことになった。それまで学生時代に野球バカと言われ、体力には自信があった私は「ちょっと練習すれば走れる」と……。

内地では雪もちらつく12月の第一日曜日、いよいよ本番!制限時間は6時間15分。その時間内に42,195 kmを走りきらなければなりません。

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「1kmを7~9分のペースで走れば楽勝だ」と軽く考えてスタートした私は早くも15km地点手前で、それがサトウキビよりも“あま~い”考えだった事を思い知らされた。この那覇マラソンのコースは、折り返し地点である平和記念公園までは、ダラダラと長い長い上り坂なのです。そして何より冷静に思えば、以前より体重も増え“片手では持てない位のダンベル”を担いで走っているのと同じではないか……。

それでも第一関門である中間地点通過の制限時間を何とかクリアし、ようやく楽な下り坂になったと思った瞬間に、来ました!!両足が言うことを聞かないっ!足を引きずりながらも次のポイント33km地点へ向かいます。途中「ひめゆりの塔」を横目に60年前の出来事に思いをはせながら、わがままな足を前に進めた。同時にしっかりと練習を積んでこなかった自分を深く反省しながら、また「何故この年になってこんなに辛い思いをして走らなければならないのか?」と自問自答しながらゴールへ向かって進みます。

 那覇マラソンの素晴らしさは、スタートからゴールまで延々と、本当に沢山の子供からオジイ・オバアまで市民の方が応援して下さっています。その一般の方々が、黒糖・塩・バナナ・サーターアンダギー・スポーツドリンク等々色んなものを差し出してくれ、大声で「頑張れ~!残り○○kmだよ~!」と背中を押してくれます。足が痛くて立ち止まればエアーサロンパスをスプレーしてくれ、昨今失われつつある温かさを実感したものでした。

 このように皆に励まされ、何とか制限時間内にゴール出来ましたが、42.195kmと言う距離は到底一人の力では走れません。ゴールした時の走り終えた達成感と、人々の温かさに感動した一日でした。

その夜、打ち上げのビールの美味しさと、翌日階段を降りる際の痛さは今でも忘れることは出来ません。