東海科学機器協会の会報

No.319 2008 新年号

“看板に偽りあり”

東海科学機器協会理事
伊丹 惣三(壽工業株式会社)


09_012 昨年の世相を表す漢字は「偽」でした。政界では事務所の偽装に始まり、年金記録、米艦への給油、C型肝炎記録などの「偽」がありました。また、食品業界でも、賞味期限や原材料などの偽装が全国的に蔓延しました。これらの「偽」は世論からの厳しい糾弾を受けたことは記憶に新しいところです。
 さて、市販されている家庭用浄水器やミネラルウォーターにはさまざまな謳い文句が掲げられています。しかし、中には「○○病に効く」「カルシウムの補給に役立つ」などという科学的根拠に乏しい怪しげな商品を目にすることがあります。また「ミネラルたっぷり」というのがありますが、飲用に適するミネラル量には制限があり、それ以上にミネラルの量が多いと飲用不適となります。ミネラルが多ければ多いほど良い、というものではありません。このことは、ゴルフボールの飛距離に影響する反撥係数に制約があって、「当社のボールは飛ぶんだ」と謳いながら実際には制約以上の反撥係数ではない、ということに似ています。正に「看板に偽りあり」です。

もちろん、長年の研究を重ねて作られたすばらしい商品も少なくなく、これらは広く親しまれて永く愛用されることでしょう。

 今年は、「偽」が世の中から消え去り、物心両面で「真の豊かさ」が感じられ始める年にしたいものです。